

2025.02.07 #佐藤保宏
名前が似ているけど、役割が違う「透湿防水シート」と「防湿気密シート」
家づくりでは、目に見えない部分が住み心地に大きく影響を与えます。その代表例が「透湿防水シート」と「防湿気密シート」。どちらもシートという名前がついていますが、役割はまったく異なります。
まず、家の外側に張られるのが「透湿防水シート」。これは雨水が外壁の隙間から壁内に侵入するのを防ぐ役割を持ちます。さらに、壁の中に万が一入り込んだ湿気を外に逃がす透湿性も兼ね備えているのが特徴です。「水は通さないけど湿気は通す」という、一見矛盾しているような機能ですが、これはシートに開いた微細な穴のおかげ。水の粒子は大きいので通らず、湿気はスムーズに抜けていくという仕組みになっています。
一方、家の内側に張られるのが「防湿気密シート」。こちらは室内で発生した湿気が壁の中に入り込むのを防ぎます。冬場、室内で発生した水蒸気が壁の中に入り、冷えた外気で結露を起こすと、断熱性能が低下するばかりか、カビや腐食の原因にもなります。そこで、防湿気密シートを適切に施工し、湿気の侵入を防ぐことが重要になります。
つまり、外からの水を防ぎながら中の湿気を逃がす「透湿防水シート」と、室内の湿気を壁内に侵入させない「防湿気密シート」の二つが、家の断熱性能と耐久性を守る大切な存在なのです。
このような目に見えない部分こそ、家づくりの品質を左右するポイントです。施工の段階からしっかり考え、適切な材料と方法で快適な住まいをつくることが大切です。家づくりのこと、気になることがあればぜひご相談くださいませ
設計 佐藤