設計士ブログ

2025.09.26 #馬場紀子

秋の夜長を愉しむ

馬場紀子

こんにちは、インテリアコーディネーターの馬場です。最近はすっかり秋めいて、朝晩もだいぶ過ごしやすい日が多くなりましたね。ここしばらくは外食のお店でも『月見シリーズ』が増え、もうお月見の時期なんだなあ、と思い出します。

今年の中秋の名月は10月6日。当日に限らず、一年の中で一番月が綺麗に見えるこの時期、月あかりを楽しまれる方も多いのではないでしょうか。
障子を通して室内に入る月の光や夜の空に浮かぶ凛とした明かりを眺めていると、自然と気持ちまで穏やかになっていきます。

昼の暑さもやわらぎ、空が少しずつ高くなるこの季節。
秋の夜は、忙しい毎日の中で立ち止まり、「光」と「影」をゆっくりと感じるのにぴったりな時間ですね。

月の光のような“やさしい明かり”を暮らしの中に

昔の人は、月の光に照らされながら季節の移ろいや自然の豊かさを感じていました。
今は夜でも明るい照明の下で過ごすことが多いですが、たまには少し灯りを落として、“月明かりのような光”を取り入れてみるのもおすすめです。

たとえば、天井の明かりを消して間接照明やスタンドライトだけで過ごしてみる。
壁や天井にやわらかな光が広がると、部屋全体が穏やかな空気に包まれ、時間の流れまでゆっくりと感じられるようになります。
木の格子や室内窓の桟、和紙の照明シェード…。日中は気づかないような小さな影が、夜になると壁や床にやさしく映り込み、空間に豊かなニュアンスを加えてくれます。

光があるところには、必ず影が生まれます。
そして、その影があることで空間には奥行きや表情が生まれます。
そんな“影の美しさ”を楽しむのも、秋の夜ならではの過ごし方です。

季節の夜を“味わう”時間を

お気に入りの照明を灯して、月を眺めながら静かに過ごす夜は、特別なことがなくても心を整えてくれる時間になります。
暮らしの中に少しだけ「光と影の演出」を取り入れることで、日常の空間がぐっと心地よく、そして豊かに感じられるはずです。

十五夜の月を見上げるように、秋の夜は“灯りの使い方”にも目を向けてみませんか。
小さな工夫が、秋の夜長を少しだけ特別な時間に変えてくれますよ。

*メイン画像はお借りしました。