

2025.05.03 #佐藤保宏
先日、あるお客様の長年住まわれていたお家の解体現場に立ち会ってきました。
築年数は50年以上でしょうか。
子どもたちの成長を見守り、家族の毎日を支えてきた、歴史ある住まいです。
家のあちこちに、暮らしの記憶がにじんでいました。
少し傾いて開けにくくなっていたふすま、柱の小さなキズひとつひとつに、
傷や落書きされた机。住まいに刻まれた“家族の時間”を感じずにはいられませんでした。
私たち設計士は、新しい家を考えることが仕事ですが、
それは単に「古いものを壊して新しくする」ことではありません。
そこにある想い出や、長年暮らした方の“気配”を、
ちゃんと受け取って、次へとつなげることだと思っています。
だからこそ、新しい住まいには、
これまでの暮らしの中で大切にしてきた“らしさ”を
少しでも反映させられるように、じっくりお話を伺います。
「思い出の家に、ありがとう」
そう思える住まいの引き継ぎを、これからも丁寧に重ねていきたいと、
あらためて感じた一日でした。
設計 佐藤