2024.07.05 #佐藤保宏
陽が沈む時間が遅いこの時期になると、仕事の帰りや休日のたまった用事をしている合間に、刻一刻と変化する夕日の美しさに心を奪われ立ち止まることがあります。私は夕日を眺めるのが好きで、きれいな夕日が見れるときは駅のホームや歩道橋、帰り道でも立ち止まって、日が暮れるまでただぼーっと眺めることをします。
夕日を眺めることは、私にとって一日の終わりを感じさせる特別な時間で、その日の出来事や離れて暮らしている子供の事を考え、自然と心が和らぐと同時に、少しの寂しさや安堵感などいろいろな感情がわいてきます。この瞬間の感情は、私が家を設計する際に重視する「居心地の良さ」に通じるものがあります。
これまでに高台の広いバルコニーから街の夜景が眺められる家、空港の離着陸が見えるロフト、花火が間近で見えて冷えたビールがその場で飲めるサーバー付きの屋上等、今までにいろいろ「眺める」をテーマとした住まいつくりの協力に参加させていただきました。
その中で私は日々、夕日の美しさにインスピレーションを受けながら、住まいの設計にも通じるものを感じたりします。長く住み続けてほしいという思いで設計する住まいは、家族の皆さまが何十年経っても居心地よいと感じていただける、唯一無二の場所であるべきです。時間とともに愛着が深まり、思い出が刻まれる空間づくりを目指します。皆様の一日がどのように終わり、どんな感情で満たされるのか、その瞬間を大切にしながら住まいづくりのお手伝いができればと。
ぼーっとする時間・・・大事です。
設計 satou